【モーダルウインドウ設置】金属の硬さはどうやって調べる?硬さ試験の種類を解説!

1.硬さ試験とは

硬さは、物体に力が加わった時の傷つきにくさや変形しにくさです。
硬さを数値化することを硬さ試験と言い、数値化を行うための測定機器を硬さ試験機と言います。
(小型のものは硬度計とも呼ばれます。)

硬さ試験は、例えば焼入れ後の部品の評価、材料や仕入れ先変更時の評価、破損した部品の原因調査などに行われます。硬さ試験には材料の特性や形状に応じてさまざまな方法があり、それによって表記記号も変わります。

2.押し込み硬さ試験の種類

金属においては押し込み硬さ試験と呼ばれる分類の方法が多く利用され、硬球や圧子を押し付けて出来たくぼみの形状から計算されます。下記はその一例です。

ブリネル硬さ(HBW)

硬球を一定時間押し付け、くぼみの直径をもとに算出する方法です。

硬球が他の試験法と比べて大きく(φ10mmのものが多い)、くぼみも大きくなるので表面や構成の粗い鋳物・鍛造品といった材料向きの方法とされています。

硬球の材質は以前は鉄や鋼もありましたが、現在のJISでは超硬合金のみ認められています。(鉄:HB、鋼:HBS、超硬合金:HBW)

ビッカース硬さ(HV)

ピラミッド状のダイヤモンド圧子を押し付け、くぼみの対角線の距離をもとに算出する方法です。

くぼみが小さいので表面が研磨された部品向きの方法であり、小物や軽量な材料や出荷前の製品でも測定が可能とされています。

くぼみは数十μmほどの大きさであり、試験機は顕微鏡やスコープとセットになった形をしています。

ヌープ硬さ(HK)

細長いひし形のダイヤモンド圧子を押し付け、くぼみの長い方の対角線の距離をもとに算出する方法です。

対角線はビッカースの約3倍の長さですが深さは浅いので、薄い・脆い材料でも測定が可能です。宝石の硬度測定にも用いられる方法です。

ロックウェル硬さ(HRC、HRBなど)

超硬合金球または円錐状のダイヤモンド圧子を押し付け、くぼみの深さをもとに算出する方法です。

材料に応じてスケールを変更する必要があり、それによって圧子の形状、荷重、表記などが変わります。Cスケールを使用した場合はHRCという表記になります。

ブリネル硬さをもっと簡便にと出来た方法で圧子やくぼみも小さくなりましたが、その分材料の表面が荒いものや圧痕があると正確に測定できません。

3.その他の硬さ試験の種類

押し込み以外では反発を測定する方法があり、物質が硬ければ硬いほど叩いたときの反発も大きくなるという性質を利用したものです。押し込みのようなくぼみが出来ないので、非破壊試験とされます。

ショア硬さ(HS)

ダイヤモンド圧子の埋め込まれたハンマーを落とし、反発で跳ね上がった高さをもとに算出する方法です。

部品の表面状態や質量による影響を受けやすいため、なるべく平面で軽すぎない材料向きの方法とされています。小型で持ち運びができ、屋外などでも測定できるのがメリットです。

リーブ硬さ(HL)

インパクトデバイスに内蔵された圧子を落下させ、落下速度と跳ね上がった速度をもとに算出する方法です。

部品の表面状態や質量による影響を受けやすいため、なるべく平面で軽すぎない材料向きの方法とされています。小型で持ち運びができ、屋外などでも測定できるのがメリットです。

4.硬さ試験の注意点

上記で挙げられる硬さ試験は表面の測定であり、内部の状態まではわかりません。表面でも測定箇所によってばらつきが出る事もあるでしょう。

また、硬さは機械的性質のひとつにすぎず、引っ張り強さやせん断応力といった強度、粘り強さの靭性、疲労度などさまざまな要因が関係します。破損などの原因調査においては、これらの点を留意する必要があります。

5.最後に

硬さ試験の方法にはそれぞれ向き不向きの材質や形状があり、どれか1台の試験機があればいいというものではなく、適材適所に選ばないといけないことがわかります。それぞれの特性を理解し、正しく測定することが重要です。