夜間無人運転の実現事例|生産目標から逆算した自動化ライン設計とは
産業機器用精密部品メーカー
夜間無人運転を目指しているのにラインが止まってしまう
製造業の自動化相談でよく聞くのが、
- ロボットを導入したが思ったほど稼働率が上がらない
- 夜間運転を始めたが途中で停止してしまう
- 自動化設備を導入しても人が付き添っている
- 限られたスペースのため大型ラインを導入できない
という課題です。
こうした問題の多くは、設備単体で自動化を考えていることが原因です。
夜間無人運転を実現するためには、ロボットや工作機械だけでなく、
- 加工時間
- 搬送時間
- ストック量
- 作業者の運用方法
- 工場レイアウト
まで含めたライン設計が必要になります。
課題:年間2万個を夜勤なしで生産したい
今回の事例では、年間2万個の部品生産を目標とした加工ラインを検討しました。
お客様からの要望は、
- 夜間無人運転を実現したい
- 夜勤を増やしたくない
- 日中作業の邪魔にならないレイアウトにしたい
- 生産目標数量を確実に達成したい
というものでした。
そこでまず、「どの設備を入れるか」ではなく、「どれだけ生産すれば目標達成できるか」から設計を始めました。
STEP1 ラインサイクルタイムを算出
自動化検討で最初に行ったのは、ライン全体のサイクルタイム設計です。
工程時間
- 加工時間:180秒
- 機内洗浄:30秒
- 搬送時間:30秒
合計ラインタイム:240秒
夜間無人運転では、「何時間動くか」だけでなく、1サイクル何秒なのかを正確に把握することが重要になります。
STEP2 無人運転時間からストック量を逆算
次に検討したのはストッカー容量です。
今回の目標は、最低8時間以上の夜間無人運転でした。
しかし計算すると、標準構成では十分な運転時間を確保できませんでした。

標準構成
- 8個 × 9パレット
- 合計72個ストック
この場合、240秒サイクルのラインでは約4.8時間しか運転できません。
そこでストッカー容量を増やし、
改善後
- 8個 × 18パレット
- 合計144個ストック
とすることで、約9.6時間の無人運転を実現しました。
STEP3 生産計画と照らし合わせる
夜間運転ができても、目標数量を達成できなければ意味がありません。
そこで実際の運用条件をもとに試算を実施しました。
試算条件
- 稼働率80%
- 休日運転なし
- 夜間無人運転を活用
という前提で検討した結果、年間27,000個以上の生産能力を確保できる計算となりました。

目標である年間20,000個を十分上回るため、停止ロスを考慮しても達成可能な計画と判断しました。
STEP4 人の作業も考慮したレイアウト設計
自動化設備の導入では、設備配置によって日中作業がやりづらくなるケースがあります。
そこで今回の事例では、
- オペレーター動線
- 作業スペース
- ロボット動作範囲
- ストッカー配置
まで含めてレイアウトを検討しました。

夜間無人運転だけでなく、昼間の生産性も維持できるレイアウトを目指しています。
夜間無人運転を成功させるポイント
この事例から分かるのは、夜間無人運転の成功はロボット導入ではなく、ライン設計で決まるということです。
重要なのは、
- サイクルタイム設計
- ストック量設計
- 生産能力試算
- 現場運用の検討
- レイアウト設計
を一体で考えることです。
この事例から学べること
工作機械の自動化では、設備単体を見るのではなく、ライン全体が止まらず動き続ける仕組みを考える必要があります。
もし、
- 夜間無人運転を実現したい
- 生産能力を増やしたい
- 人手不足を解消したい
- 自動化の費用対効果を上げたい
という課題がある場合は、設備選定から考えるのではなく、目標生産数から逆算した自動化ライン設計から検討することをおすすめします。