サイクルタイム短縮のノウハウ教えます

1. はじめに

NC旋盤は、刃先の位置情報を設定し、NCプログラムで刃具の移動経路を指令すれば自動でワークを削る事ができ、ひとたびプログラムを作成してしまえば高精度な加工を繰り返し行う事ができます。

この時、作成したNCプログラムにより、製品1ヶあたりのサイクルタイムが決定しますが、このプログラムを今一度見直し、最適化することにより短縮することができます。
今回は、メーカーエンジニアが実際に行うタイム短縮のポイントについて解説します。

2. サイクルタイムの考え方

サイクルタイムとは、ワーク1ヶあたりの加工時間すなわち自動起動をスタートしてプログラムが終了するまでの時間を言いますが、大まかに2つに分類できます。

1:アイドルタイム・・・・・機械が動作するための時間
2:カッティングタイム・・・切削している時間

2のカッティングタイムを変更することは切削条件を変更することになり、加工に影響を及ぼす可能性があります。 そこで、ワークの精度面で変化が生ずることになるカッティングタイムは変更せず、精度面に変化が生じないアイドルタイムを必要最低限にすることで、無駄時間をなくしタイム短縮を行います。

Point!

・サイクルタイムの見直しは「アイドルタイムの見直し」から行う

3. アイドルタイム短縮のポイント

アイドルタイムを短縮するためには、まずしっかり一連の動作を把握する事です。

空運転動作を繰り返し行い、アイドルの時間、切削している時間、機械がどのように動作しているのか、無駄な動作はないか、待ち時間がないか、などを実際の動作を見て短縮のポイントを探ります。
動画を撮影し、繰り返し見て短縮ポイントを見つけることも良い案です。短縮ポイントは、同時動作できないか?という目線で見るとより案が出ると思います。

同時動作とは、
・早送りしている間に○○する
・回転停止中に○○する

という具合に、ある動作とある動作を同時に行い、一方の動作時間を吸収するという考え方です。

4. アイドルタイム短縮の方法

アイドルタイムは切削していない時間なので、早送りアプローチ、退避動作、主軸の加減速、Mコードの完了タイマー、刃物台の割り出し、ドウエル時間などに注目し、調整を行います。

4-1.早送りアプローチ、退避動作

・可能な限りX軸とZ軸の早送りを2軸同時にする。
・退避位置を刃物台が旋回できる最低限の位置にする。(機械原点まで戻さない)

例 G00Z10.0     →      G00X50.0Z10.0
    X50.0

例 G28U0W0     →      G00X200.0Z50.0

4-2.主軸の加減速

主軸の回転は、指令した回転数に一瞬でなる訳ではなく、加減速時間が必要です。

サイクルタイム短縮で特に効果が出るのは回転停止指令です。
主軸回転停止指令M05は、回転が完全に停止した事を確認して初めて完了するMコードなので、停止指令を読み込んでも実際に停止するまでプログラムは次の行に進みません。すなわち停止するまで待っている事になります。
この待ち時間の間にプログラムを次の行に進めることで、回転停止中に原点復帰や刃物台割り出しなど他の動作を行うことができるようになります。
当社機では、完了を確認しないMコードすなわち動作したか確認せず、次の行を実行するタイム短縮用のMコードが存在し、このMコードを活用することで、タイム短縮を行っています。

例 G00X200.0Z50.0M05  →   G00X200.0Z50.0M205(停止指令のみ)

例 G28U0W0        →   G28U0W0
                    M05(停止確認)

4-3.刃物台アンクランプ

刃物台は、通常油圧によりクランプされています。アンクランプ動作を行わなければ旋回することはできません。
当社機では、このアンクランプ動作を事前に行うMコードM702が準備されており、事前にアンクランプさせることで、刃物台の割り出し時間を短縮することができます。

例 G00X200.0Z50.0  →   G00X200.0Z50.0M702
  M01       →   M01
  N3G54M41    →   N3G54M41
  G00G40G97G99T0202S2000M03  →     G00G40G97G99T0202S2000M03
                  (事前にアンクランプしているのですぐ旋回)

  X50.0Z2.0                        →     X50.0Z2.0

4-4.ドウエル時間

ドウエルとは、指令した時間プログラム進行を停止する機能なので、指令時間がそのままサイクルタイムに影響します。
プログラムの中で、ドウエルを使用している箇所があれば、指令した時間が適切であるかを見直しすることで、削減した分そのままサイクル短縮となります。
ただし、チャック開閉時間など削減しすぎると悪い結果になる場合がありますので、あくまでも無駄な時間のみ削減します。溝底や、ドリル加工時の終点などのドウエルが長すぎないかなどが注目するポイントになります。

例 G75R0.5                 G75R0.5
  G75X30.0P300Q1000F0.08   →    G75X30.0P300Q100F0.08

例 G01Z-30.0F0.1         →    G01Z-30.0F0.1
  G04U0.5            →    G04U0.1

5. まとめ

今回ご紹介した事例は、比較的簡単に実施できる内容なので、参考にしてみて下さい。

1箇所でみれば0.1秒単位の物凄く短い時間の短縮ですが、1サイクルで見た場合、数秒の短縮につながります。たとえワーク1ヶで1秒2秒という短い時間の短縮でも1日に300ヶの量産を行う場合、300秒600秒の短縮につながります。

ただし、サイクルタイム短縮は生産性を向上させる重要な作業ですが、同時に干渉の危険も伴います。プログラムチェックをしっかり実施し、必ず干渉が無い事を確認して連続運転に入りましょう。

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