知能化技術とは?工作機械のスゴいテクノロジー!

1.工作機械の知能化とは

たとえば作業者が左へ動かす、時計回りに回転させる、といった指示をその都度出して機械がその通りに動くのはごく普通のことです。しかしそれでは作業者は機械につきっきりになってしまい、判断や調整のさじ加減などが人にゆだねられるため、ばらつきやミスを生み出してしまうことがあります。

知能化技術とは、機械自身がリアルタイムで起こっている状況を把握したり変化を検知し、適切な処理を行うなどして、あたかも機械が自分で考えて動いているかのようなシステムやソフトウェアなどをいいます。

身近なもので言うと、エアコンのセンサーが人や室温を感知して自動で風向きや風量を調節したり、スマートスピーカーが人と対話しながらさまざまな要求に答えるのもそのひとつです。

人型ロボットは知能化技術の結晶。
人型ロボットなどは知能化技術の結晶と言えます。

2.知能化技術にはどんなものがある?

中村留の工作機械でいうと、以下のようなものが挙げられます。

熱変位補正機能(NT サーモナビゲーターAI)

その時の気温や切削状況によって庫内の温度は刻一刻と変動し、加工精度に大きく影響します。

熱変位補正は定期的に機内の温度を測定し、その温度から基準からズレると思われる量を推算して、その差を埋めるように各軸の動きに補正を加える技術です。

熱変位補正機能の流れ
サーボモータとは?

簡単に言うと、とても正確で確実でパワーのある動きをすることが出来るモーターです。各ユニットや軸と連動しています。

幾何誤差補正機能(SmartTuning)

機体の各軸は正確な位置や向きで組み付けられていることが望ましいですが、実際にはわずかな傾きやズレ(幾何誤差)があり、加工精度に影響を与えます。

スマートチューニングは加工エリア内に取り付けた基準球の位置をタッチプローブで自動計測することにより、幾何誤差を推定し、その影響を補正する機能です。

ビビリ振動抑制機能(ビビリケア)

切削条件や工具などで問題があると切削加工時に断続的な振動=ビビリが発生することがあり、加工精度が悪くなります。ビビリの原因は多岐に渡るため、究明に時間がかかったり対処が難しいとされています。

ビビリケアは主軸の回転数を周期的に変動させ、加工物に発生したビビリ振動を防いだり軽減させることで加工精度の安定を維持する機能です。

衝突軽減機能(エアバック)

万が一に加工物とタレットやツールなどが衝突してしまった時、衝撃の検知から0.001秒後にモーターを逆転させて後退し、衝撃による被害をなるべく軽減させる機能です。

人間の場合は、音を聞いて反応するまでに最低でも0.1秒はかかると言われています。

衝突軽減機能の仕組み

実際にエアバックが稼働している様子です。

3.知能化技術のメリット

作業者のレベルに依存しにくい

ボタン1つでONになったり機械自身が判断して行われる機能が多く、作業者の技能や経験などに依存しにくくなります。

加工不良が減る、精度が安定する

作業者のレベルに依存しないことや変位や異常を修正する機能によって、加工不良が減ったり精度にバラつきが起こりにくくなり安定します。

工数削減

事前に計算したり測定したりする手間が減ったり、加工不良が減ることで工数削減になります。

4.最後に

人と機械はそれぞれ得意・不得意とすることがあります。

人は一瞬で計算したり判断したり重量物を動かすことは出来ませんが、総合的な状況判断やフレキシブルな対応、最後の精密な仕上げなどはまだまだ機械に劣りません。

人の思考はロボットに勝る?

いかにお互いの不得意なところを上手く補いあえるかが、自動化・機械化を最大限に生かすポイントかもしれません。