工作機械の自動化のメリット!導入できる作業とは?

自動化

汎用旋盤やフライス盤など、加工時の操作を手動で行う工作機械は多くの現場で使われていますが、同じものを精度よく加工するのが難しいため大量生産には向かず、また作業者にもスキルが必要になるなどのデメリットがあります。そのため、近年では工作機械を使ったあらゆる作業における「自動化」技術の開発が進んでいます。

今回は、そんな工作機械の自動化が工場など現場にもたらすメリットや、実際にどんな作業が自動化できるのかをご紹介します。

1.工作機械の自動化とは

工作機械にローダーやロボットなどの周辺装置を組み合わせて、加工の一部または全体の工程を機械が人の代わりに行い、生産性を高める仕組みづくりを工作機械の自動化といいます。

ロボット

2.自動化のメリット・デメリット

工作機械の自動化によって、手動では難しい複雑な形状の加工や、精度の高い加工の要望などにも応えられるようになります。それぞれの現場に合わせた自動化を導入することで以下のようなメリットがあります。

メリット

生産ラインの省人化・人手不足の解消

加工時の作業を自動化した工程には作業員を配置する必要がなくなるので、生産ラインの省人化につながります。これにより人手不足も解消でき、全ての工程を自動化できれば工場の無人化も可能です。

品質の向上・安定化

手動操作で行う加工は品質が安定せず、またミスが起こる場合もあります。自動化を導入すればそれらの問題はなくなり、一定の品質を維持した製品をつくることができます。

人件費の削減

工場に人を増やさずに24時間機械を動かし続けることができるので、人件費を削減できます。近年ではAIを搭載した工作機械の開発も進んでおり、人件費だけでなく現場作業の負担を抑えられるのも大きなメリットです。

デメリット

初期コストが高い

組み合わせる周辺装置などによっても変わってきますが、工作機械の自動化には初期コストが多くかかります。ですが、自動化にはメリットも多いため、現場にコスト以上の価値をもたらすことが期待できます。

維持管理にもコストがかかる

自動化して24時間機械を動かし続けていると、どうしても日々の電気代やメンテナンス費用などが多くかかってしまいます。初期コストだけでなく、維持管理にかかる費用も踏まえて導入を検討することが大切です。

3.自動化できる作業

ワークの搬送作業

ガントリーローダー
※画像は中村留精密工業のガントリーローダー「GR-210 High-Speed」

工作機械から重いワークを着脱させる作業は人の手で行うと時間がかかるうえ、重いワークを運ぶ場合はとても危険です。それらの作業を自動化することで、安全に効率よく移動させることができます。

  • 【自動化する・または自動化の対象となる装置】
  • ・ガントリーローダー
  • ・ワークストッカー
  • ・バーフィーダー
  • ・多関節ロボット
  • ・シャフトローダー など

ワークの取り付け・取り外し作業

パレタイジングストッカー
※画像は中村留精密工業のパレタイジングストッカー「箱兵衛」連結仕様(op.)

素材のローディング、完品のアンローディング作業についても自動化が可能です。自動化装置を導入することで、ワークの着脱作業が作業者のばらつきなく、安定して効率良く行うことができます。

  • 【自動化する・または自動化の対象となる装置】
  • ・多関節ロボット
  • ・ローダー・アンローダー など

機内・機外での計測作業

判兵衛
※画像は中村留精密工業の自動計測装置「判兵衛」

熟練した作業者が必要になる計測作業ですが、加工ワークの計測を自動化する機械もあります。ワークを機内で計測するものや、ガントリーローダーなどで完成品を取り出した後そのまま機外で測定し、ストッカーへ自動で搬送するものなどがあり、製品寸法の安定化が図れ、自動運転をサポートします。

  • 【自動化する・または自動化の対象となる装置】
  • ・タッチプローブ
  • ・ガントリーローダー など

チャック爪の交換作業

Flex Arm
※画像は中村留精密工業の機内搬送装置「Flex Arm」

旋盤での段取り作業における爪交換は、通常、工具を使って人の手で行われる為、無人化運転の妨げとなります。爪交換を自動化することは、夜間の無人化運転を支援し、稼働時間の継続を可能とします。

  • 【自動化する・または自動化の対象となる装置】
  • ・多関節ロボット
  • ・機内搬送装置 など

プログラムの作成作業

プログラム

数値制御の工作機械では、加工プログラムを作成するのは、経験の無いエンジニアにとっては難しい作業です。しかし専用のソフトウェアを導入できる場合は、プログラムの作成作業を自動化できるので大幅な工数の削減が可能です。

  • 【自動化する製品】
  • ・各工作機械メーカー独自のソフトウェア
  • ・CAMメーカーのソフトウェア など

4.複合加工機の自動化

複合加工機とは、1台の機械で旋盤加工、ミーリング加工と複合的な加工ができ、素材を完成品まで仕上げることができる工作機械のことです。

複合加工機

近年の製造業では、多様な加工の要望に柔軟に応えられる「多品種少量(少ロット)生産」が求められており、部品加工の自動化ニーズも高まっています。その中でも、複合加工機での工程集約による自動化を導入することは、現場にさらなる生産性の向上をもたらしてくれます。

中村留精密工業では、そんな複合加工機の自動化ニーズに応えるための製品開発も進めています。当社の複合加工機のラインナップや自動化製品について詳しく知りたい方は、以下よりご確認ください。

【自動化製品についてはこちら

5.まとめ

製造業では多くの企業が人手不足に陥っているという背景もあり、工作機械の自動化システムの発展に対する期待は高く、世界の市場でも注目されています。

自動化で現場の生産性を向上させることによって、新しいことや別のことに取り組む時間ができるなど、企業が得られるメリットは多くあります。製造現場の環境やコスト面なども踏まえて、ぜひ導入を検討してみてください。