測定と校正について

1.測定とは

測定とは、簡単に言うと何かしらの”量”を数値と単位で表すことです。
ものづくりにおいて欠かせない作業であり、作ったものが図面通りになったかどうか、または作る前にどれくらい加工しないといけないか等を確認することが出来ます。

それは長さ、大きさ、粗さ、硬さ、重さなど色々なことに対して行われます。
ひと口に長さと言っても直径、深さ、段差、厚みといった多くの形状があり大小も様々なので、それぞれの形状と大きさに合わせた多様な測定器が必要になります。

工作機械には何百個という部品が組み込まれていますが、その中にミクロン単位の精度が必要な精密部品が数多くあります。

工作機械には精密な部品がいっぱい!

測定したい単位が小さいほどそれを測定するためのものもデリケートで高額になることが多く、日々のメンテナンスや校正が重要となってきます。

2.校正とは

測定器を正常な状態で正確に測定するために、日常的に清掃したり調整したりを行うメンテナンスに加え、定期的に校正という作業を行います。

校正とは、基準に対しての差を明らかにすることをいいます。
文章の校正では誤りや不備を正す意味で使われますが、測定器においては調整することは校正に含みません。

25mmを測れるマイクロメータで25.000mmの基準ブロックゲージを測って25.003mmだった場合、0.003mmズレていますが、それを直すことは校正にあたりません。
とはいえズレはない方が測りやすいので、調整とセットで行うことは多いと思います。

数値だけでなく、各部位の動き等も確認しています!

校正に合格すると前回校正日~最新校正日までの、その測定器および測定値の信頼性が確立されます。次回校正日までの精度を保証するものではありません。

3.自社校正について

校正はどのタイミングでどんな風に行っているのでしょう?

中村留の場合、約3000個の測定器がありますが
基準の用意と作業が容易であるものは自社で校正しています。逆にその二つのどちらかでも難しいものは、外部に校正を依頼しています。

自社校正を行う場合は

 ・何年おきに(校正周期)
 ・何を基準にどうやって(校正方法)
 ・検査項目、合格ラインはどうするか(検査基準)

といったことを決めています。

中村留では校正周期は使用頻度や使用環境をもとに、校正方法や検査基準はJIS規格やメーカーの仕様書などをもとに決めています。

毎日のように使うものであれば毎年校正し、年1回しか使わないし汚れたり摩耗したりしなければ10年という周期になっているものもあります。これは各社によって使用状況など異なってくるので、様々だと思います。

中村留では分銅は10年ごとに校正しています!

↓↓一例として、中村留では以下のような流れで行っています。

新しく測定器を購入

データベースに情報(使用者、型式、購入日など)を登録し、
その測定器のナンバーを取得

ナンバーと次回校正日のシールが測定器に貼られる

次回校正日が間近になるとお知らせメールが届く

校正を行う部署に持ち込み・依頼をする

合格だった場合、次回校正日のシールが更新される

校正の期限が切れてしまった測定器が発生しないようになっています。

4.外部校正について

自社校正できないものは外部に校正を依頼します。
基準器、道具というより機械に近いもの、数が多いもので、例えば三次元測定機、ひと箱に100個以上のブロックゲージが入ったセットなどが該当します。

大型のものは会社に来て頂くことが多いです!

その際は判定や検査成績書だけでなく、トレーサビリティ体系図を必ずセットで依頼します。
校正に使われたものが国家標準・国際標準までトレース(追跡)出来ることを示したものであり、これがないとその計測器がトレーサブルな状態にあることを証明できません。

校正に合格しトレーサブルな状態であれば、精度が保証された計測器になります。

5.最後に

校正というのは直接に利益に結び付くものではなく、人件費もコストもかかりますが
ものづくりにおいて精度の正確性、信頼性はとても大切なことです!!