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旋盤とは? 加工対象から機械構成などを解説!

「旋盤」という機械をご存知でしょうか?我々の日常生活で目にすることは少ないですが、身の回りのあらゆる製品を生み出す重要な役割を担っています。この記事では、旋盤の加工対象から機械構成などを解説します。

1. 旋盤とは

旋盤とは金属を加工する工作機械で、加工したい素材を回転させ、刃物をあてることにより、円筒形状に削り出す機械のことを言います。簡単にイメージするとリンゴの皮むきを想像してみてください。リンゴをゆっくり回転させながら包丁で皮を薄くむいていく感じです。リンゴが素材、回転させるものが主軸、包丁に相当するのがバイトと呼ばれる切削工具です。回転している素材に切削工具を主軸に平行に動かしながら押し当てて円柱形状にする機械のことを言います。

リンゴの皮むきと旋盤での切削のイメージ
リンゴの皮むきと旋盤での切削イメージ

2. どんなものを加工するの

旋盤は円筒形状の加工に特化した工作機械です。主に円柱、円錐の加工を行います。その他には、穴あけ加工、ネジ加工などもできます。具体的にどんな部品の加工に旋盤が使用されているかと言うと、身近にあるほとんどの製品には旋盤で加工された部品が使用されています。自動車部品、航空機部品、建設機械部品、医療部品、エネルギー関連部品、家電住宅部品、半導体製造装置部品など旋盤を使用して加工した部品を使用して組み立てられた製品がほとんどです。鉄、アルミ、ステンレス、真鍮、鋳物、樹脂などありとあらゆる素材を加工できます。

3. どんな加工ができるの

旋盤は素材を回転させて刃物(バイト)を押し当てて加工します。使用するバイトの種類や動かし方次第でいろいろな加工に対応でき、一般的には、外径加工、内径加工、端面加工、ネジ加工、溝加工、穴加工(ドリル加工)、円錐形状のような角度をつけたテーパー加工、円弧加工などができます。この豊富な加工方法を組合せて1つの部品を完成させていきます。加工工法をどんな順番でどんなバイトを使用して加工するかを考えることを工程設計と言い、工程の順番に沿ってバイトを変更し、動かし方を変えながら加工を進めていきます。操作する職人の技が必要ではありますが、単品の短納期対応や加工品の細かな修正などに重宝されています。

4. 機械の構成

旋盤はベッド、主軸台、刃物台、心押し台と、大きく分けて4つの主要部品で構成されています。簡単に説明すると、素材を把握し、回転させる主軸台。バイトを取付け、加工したい形状に動作させる刃物台。長尺加工物をサポートする心押し台。最後に3つの台を取り付けるベースになる頑丈な土台をベッドと呼びます。

NC旋盤の場合は、基本構成は同じで、さらにNC装置、操作画面が付属されています。

旋盤の基本構成

4-1. ベッド

ベッドとは、主軸台や往復台、心押し台などを支える機械の基礎となる土台になる部分で、振動や熱に強い構造になっています。基礎となる土台が弱いとその上に搭載される主軸台や往復台が移動時に変形し、精度の良い加工ができなくなるため、素材選定、構造など最先端の技術力をもって設計されています。

4-2. 主軸台

主軸台とは、加工物を回転させる部分であり、ベアリング等でAssyした主軸が搭載される部分のことであり、ベッドと共に主軸のベアリング構成、バランス、主軸台の剛性も加工精度につながる重要部位の一つです。

4-3. 往復台

往復台とは、切削工具を搭載する刃物台を乗せた台であり、ベッド上の長手方向に移動させることができます。エプロン、サドル、横送り台、刃物台から構成されています。

4-4. 心押し台

心押し台とは、主軸台と対向のベッド上に搭載されている台であり、長手方向に移動できる構造になっています。加工物をサポートするための装置であり、先端部を変更する事により、ドリル加工などにも使用されます。NC旋盤ではテールストックと呼ばれています。

5. まとめ

工作機械はマザーマシンと呼ばれ、機械を作る機械と言われています。その中で旋盤は、機械加工の中で一番良く使用されている工作機械です。旋盤そのものは生活の中ではほとんど見かけることはありませんが、私たちが日常生活で利用している多くの製品には、工作機械から生み出された部品が使われています。身の回りで円筒形状の部品があったら、それはもしかしたら旋盤によって作り出された物かもしれません。